タルボサウルスが最初に報告されたのは1955年のことでした。そのときはティラノサウルスと非常によく似ていることから、ティラノサウルスの一種と考えられました。しかし、その後の研究でティラノサウルスに比べて、後頭部が膨らんでいないことや下アゴの骨どうしがしっかりと組み合わさっていることなどが分かりました。このことは両者の頭骨が受ける衝撃の吸収方法が異なることを示しています。またティラノサウルス科の恐竜は体に対して前あしが短いことで知られていますが、タルボサウルスはその中でも特に短い前あしを持っています。これらの違いがあることから、現在では多くの研究者はこの恐竜をタルボサウルスという名前で呼んでいます。 2004年、中国に分布する白亜紀前期の地層から全長約2メートルのティラノサウルスの仲間であるディロングの化石が発見され、その化石には羽毛の痕跡が残されていました。このことから、少なくとも小型のティラノサウルスの仲間には羽毛があったことがわかり、その役割は体を保温するためと考えられました。しかし、体が大きい動物は熱を逃がしにくいため、ほかの大型のティラノサウルスの仲間にも羽毛があったのかどうかはわかりませんでした。2012年、全長約9メートルのティラノサウルスの仲間であるユティラヌスが発見され、その体表は20センチメートル程度の羽毛で覆われていたことが分かりました。この発見は大型のタルボサウルスも羽毛に覆われていた可能性を指摘しています。 |