モノニクスと鳥類の骨格を比べてみると、いくつかの似ている点があることに気が付きます。特に胸骨(胸の骨)は、鳥類を除く獣脚類が左右1つずつの板状の骨からなるのに対して、モノニクスと多くの鳥類は左右の胸骨が1つになり、その中央に「竜骨突起」と呼ばれる高い突起があります。この突起は前あしのための筋肉が付く場所で、鳥類は翼を力強く羽ばたかせることができます。また、モノニクスも短い前あしに強い力を加えることができたのかもしれません。最古の鳥類とされる始祖鳥も「竜骨突起」を持たないため、モノニクスは始祖鳥よりも派生的な鳥類であるとされました。しかし、現在ではモノニクスは骨格のほかの部分が鳥類よりも原始的なことから、「竜骨突起」をはじめとした多くの鳥類がもつ特徴を鳥類への進化の流れとは別に、独立して獲得したと考えられています。 モノニクスの前あしには1本の大きなツメがあり、この特徴が名前の由来となっています(モノ=1、オニクス=ツメ)。では、この前あしにはどんな役割があったのでしょうか。モノニクスの前あしの骨の詳しい研究から、獲物をつかんだり穴を掘ったりする動きはできず、地面を引っかく動きに適していることが分かりました。また、鋸歯を持たない小さく薄い歯はモノニクスが昆虫などを食べていた可能性を示唆しています。これらのことから、モノニクスの前あしはアリクイのようにアリ塚を壊すのに役立ったのかもしれません。
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